ジョイント・Vの円柱供試体を使用してコンクリートの圧縮強度試験と同様に圧縮強度特性について調べました。
ジョイント・Vは既調合のプレミックス粉と水性エマルジョン樹脂混合液が添付されて供給される。
ここでは、それをそのまま練り混ぜた無加水、無添加でこれらの試験に供しています。
(表1)ジョイント・Vの圧縮特性
圧縮強度(N/mm3) | 21.50 |
弾圧係数(×105N/mm3) | 6.20 |
ポアソン比 | 0.22 |
圧縮強度については一般的なセメント製品に比べて特筆すべきものではありませんが、注目すべきはジョイント・Vの高い弾性にあると言えます。
通常のコンクリートでは弾性係数は2~3×104N/mm3程度、ポアソン比は0.1~0.2程度であるということを考えると、ジョイント・Vは通常のコンクリートの20~30倍もの弾性を持つという数値が得られています。
この性質が、壁体と表面仕上げ材との間の緩衝材としての役目を果たし、クラック発生を防止する大きな効き目として現れています。
ジョイント・Vの引張強度について、やはりコンクリートの場合と同様な引張(割裂)強度試験方法によって調べました。
通常、コンクリートの引張強度はその圧縮強度の1/10~1/13程度となるのですが、ジョイント・Vはおよそ1/7であり、やはり予想どおり引張強度はコンクリートのおよそ1.5倍程度あるといえます。
(表2)ジョイント・Vの引張強度
引張強度(N/mm3) | 3.50 |
ジョイント・Vのコンクリートに貼り付く性能を調べるため、下の写真のように3つのコンクリートブロックを厚さ2mmのジョイント・Vによって連結させた供試体の押し抜きせん断試験を行いました。
(表3)ジョイント・Vの接着せん断強度
引張強度(N/mm3) | 0.53 |
接着せん断強度はエポキシ系接着剤に及ばないのですが、たった2mmの厚さのジョイント・Vはいとも簡単に1mm程度のせん断変形を許容していることが分かります。
このようにジョイント・Vは、優れた弾性変形特性と密着性をもった樹脂セメントモルタルですので、強度は比較的高い一方、変形追従が良い材料です。
報告 平成17年10月8日 熊本大学工学部環境システム工学科 准教授 重石光弘